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なおログ

30歳。東京で働く会社員。心にじんわり広がる幸せ。

いま住んでいる場所に、もう一度恋をする。

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JR新宿駅東口改札から、赤いメトロマークを目印に人混みをかきわけて進む。小さな改札を通って東京メトロ丸ノ内線のホームに降りると、地下鉄のホーム独特の生あたたかい空気と埃っぽいにおいが顔にあたる。

荻窪行きに乗って10分、新高円寺駅に着く。階段を上ると目の前は青梅街道。車やバイクが先を争うように新宿方面へ急いでいる。ごうごうと走るトラックやバスの大型車。大きな道を挟んで、この街の人びとの生活を感じさせるいくつものお店が立ち並んでいる。昼間は灰色のビルが建ち並んでいるように見える青梅街道も、夕方になると店舗にあかりが点いて人でにぎわい始める。まだ新高円寺が最寄り駅になって半年しか経ってないけど、この景色を見るとホッとする。「帰ってきたなぁ」と思う。

青梅街道を基点に、北にまっすぐ進むとJR高円寺駅高円寺駅に進む道は何本かあって、どの道沿いにも可愛い飲食店や古着屋さんが存在する。晴れている日に、のんびり歩きながら眺めると、それはそれは楽しい。お気に入りのお店もいくつかあるので、この先1つずつ紹介したい。

南にまっすぐ進むと五日市街道に行き当たる。さらに南に進むと、住宅が並ぶ。お寺と公園。ポツポツと昔ながらの八百屋さんや魚屋さん。青梅街道の喧騒が嘘のようにシンと静まり返っていて、時折遠くの学校からキャッキャッという子どもたちの声が聞こえる。この静けさもたまらなく好き。夜遅くなっても、トラックが近くを通る事もないし、誰も騒いだりしない。

田舎に住んでいた時、「女の子が1人暮らしする街」といったらだいたい決まっていて、選択肢はいくつかしかなかった。だから東京に異動が決まった時は、あまりにも街が多くてどこに住んでよいやら途方に暮れた。それでも、これまで1人暮らしをしてきた経験から、いくつか条件を絞り込んだ。

1.実家まで1時間で帰れる 2.職場まで片道30分以内(乗換なし)3.治安がよい 4.占有面積25㎡以上・築浅・駅から徒歩10分以内・2階以上・コンロ2口以上の物件に家賃10万円以下で住める 5.商店街のある街

東京広しといえども、この5条件を満たす街は数ヶ所しかなかった。

私は住む街を決める時、必ず自分で足を運ぶ。昼間の明るい時間と、夜の暗い時間の両方に、実際に歩いてみる。明るいと思っていた街が、住宅街に入った途端に暗かったりする。人通りが多いと思っていたら、夜に誰もいなくなる道があったりもする。

中央線沿線の、いわゆる「杉並三駅」は3つとも歩いてみた。荻窪は私にとってはとても都会で、阿佐ヶ谷は私には少し寂しく感じた。最後に高円寺を歩いた時、心の奥からじんわり「この街に住みたい」という気持ちがわきあがってきた。「いっぱい歩いて、お気に入りのお店を見つけて、暮らしを楽しむ自分」がイメージできたから。駅の周りにいくつもの商店街があるのが嬉しかった。「商店街のある街」に住みたいなぁと思ってた。

不動産屋さんと2人で街中を自転車を走り、お部屋を探した。偶然に条件以上のお部屋に空きが出て、内見しに行った時に「こんなにいいお部屋はもう見つかりませんね」と喜んだことを思い出す。引越した日、まだダンボールだらけの部屋で「こういう部屋に住むのが俺の理想なんだ。前に住んでた所よりずっといいね」って彼氏が言ってくれた時、とても嬉しくて照れくさかったなぁ。

毎日に慣れ、住み始めた頃の気持ちをすぐに忘れて、雑に扱ってしまう。まるで自分の周りの人間関係みたい。こうやって少しずつ思い出しながら書き出してみると、奇跡のように巡り逢った部屋なんだった。もう一度感謝して、大事にしよう。

広い東京の数ある街から、高円寺を選んで、いま住んでいる。引っ越してきた時を思い出すと、見慣れた風景にも胸が切なくなる。「当たり前の事なんて何もないんだ」と思う。あなたが住んでいるのは、どんな場所ですか?どんな経緯で、そこに住むことになったのですか?もう一度、自分の家に恋をしてみませんか?

お題「好きな街」